歯周病は死周病

歯周病とは、歯と歯茎の間に食べかすがたまって細菌が増殖し、炎症を起こした状態です。歯や歯茎を支える歯槽骨を溶かすことで歯を失ってしまう、こわい病気です。

悪い仲良し関係

「歯は臓器のひとつである。」という歯科医もいます。つまり歯や歯周病の影響は口の中だけにはとどまらない、ということです。例えば長期に渡って歯茎に炎症があると、そこから細菌が血管を通り全身に回ります。歯周病菌を持った血液が肝臓に入ると、ブドウ糖の代謝を妨げ、インスリンの働きを弱めます。またサイトカリン(歯茎の炎症を抑える免疫細胞から出る)がインスリンの抵抗を高め、糖尿病を悪化させることもあるのです。

唾液ってエライ

糖尿病になると喉が乾く、といいますね。唾液が少なくなりさらに歯垢がつきやすくもなります。

唾液がたくさん出ると…?

消化吸収を助ける1 唾液内のアミラーゼ(消化酵素)がデンプンを分解し、消化されやすくする
消化吸収を助ける2 「噛む」という行為が副交感神経を刺激して消化を助ける
活性酸素の消去 癌などの発生に関係する活性酸素を消去する
発ガン性物質を弱める 唾液に含まれるペルオキシダーゼが発ガン性物質を弱める
虫歯を防ぐ 細菌を洗い流し、カルシウムを沈着、エナメル質を再形成する
歯周病を防ぐ 細菌を洗い流し、炎症をおさえる
細菌の働きをおさえる 抗菌作用によって細菌やウイルスを弱める
味覚を助ける 唾液中のガスチンという物質が味覚を敏感にさせる
誤嚥性肺炎を防ぐ 唾液が出ることでお年寄りの誤嚥性による肺炎を防ぐ



唾液の出がよくなるよう、

1.意識して噛む回数を増やす
2.果物は皮付きで食べる
3.食物繊維を多く含む食品を選ぶ
…といった工夫をしてみましょう。

良くなる正比例

歯周病と糖尿病は片方を治療することでもう片方の病気もよくなる、という関係でもあります。定期的にプラークコントロールをすることで糖尿病がよくなったり、反対に血糖値をコントロールする食生活を続けることで歯周病の進行を抑えられた、という症例が数多くあります。

歯にも糖尿にもいいごはん

食べ物が体の中にはいると血糖は上がりますが、後にインスリンの作用を受けて下がっていきます。「いい状態の血糖値」とはこの上昇をできるだけ小さく、なだらかにすることです。血糖値の急上昇を抑えてくれる食材は…

酢に含まれるクエン酸や酢酸は糖質が体内に吸収されるのをゆっくりにし、血糖値が急上昇するのを防ぎます。そのためインスリンが出過ぎるのを防ぎます。1品に酢の物をとる、あるいは酢をかけるという工夫をしましょう。
食物繊維 糖質が体内に吸収されるのをゆっくりにし、血糖値が急上昇するのを防ぎます。しっかりと回数をかけて噛むことで唾液もその分分泌され、歯にもいい食材です。またお通じにも効果的です。
乳製品 乳製品に含まれるタンパク質は比較的体内でゆっくりと消化されるため、一緒に食べた物の消化・吸収もゆっくりになります。食前に1杯の牛乳を飲むだけでも効果があります。


歯にも糖尿にも悪いごはん

食事と水分 食事中に大量の水を飲むのはやめましょう。消化・吸収を早め、血糖値の急上昇を招きます。
スナック菓子ごはん お菓子やスナックを食事代わり、にはやめましょう。糖分・炭水化物タップリの食べ物が血糖値の急上昇させ、すぐにおなかが減ってしまうことになります。
お酒大好き 多少飲むのは問題ありませんが、大量に早く飲むと肝臓がアルコールの分解のため他のエネルギーをため込むことが出来なくなり、脂肪を増やすことになります。
食後のデザート 食後血糖値が上がっている時に、さらに甘いデザートで拍車がかかってしまいます。食べるのなら食事と食事の間に。
だらだら食い ながら食いは絶えず血糖値が上昇している状態を招きます。食事は規則正しく1日3食に。
朝食抜き 朝食を食べないと基礎代謝が下がります。前日の晩ご飯から時間があいてしまうと軽い飢餓状態になり、体内ではエネルギーをため込もうとする作用が働き、脂肪を貯蓄することになります。
遅い夕食 深夜に食事をすると、朝お腹がすいていなくて、結局朝食抜きになりがちです。お腹が一杯になると安眠にも影響します。
白が好き 精米された白米、うどん、食パン、小麦粉などは血糖値を上げやすい食べ物です。玄米やライ麦ぱん、日本そば、オールブランシリアルなどは反対に上がりにくい食べ物です。


よく噛んでよく寝よう

自律神経には

・日中に働く、身体機能を促す交感神経 と
・夜寝ている間に働く、副交感神経      があります。

自律神経とは、変化に適応できるように、全身をコントロールしています。
この自律神経の不調によって不眠症状を起こしている人が増えています。
つまり、活発でなければならない日中に副交感神経が働いてしまったり、
反対に夜寝るときに興奮状態になってしまったりする訳です。

夜に副交感神経が働くようにするために、
1.夕食には噛みごたえのあるものを食べる
2.ゆっくり噛んで食べる              ことが大切です。

ゆっくり噛んで食べる→唾液腺が刺激される→唾液が出る
→唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下線)は副交感神経の通り道、
つまりよく噛んで食べることで、唾液腺を刺激して、副交感神経も
活発に働くようになるのです。


噛む噛む、ハッピー Come Come

たくさん噛むことで…?

肥満予防1 よく噛むと血糖値が早く上がり、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ
肥満予防2 よく噛むと顔や顎にある三叉神経が刺激され、脳の肥満中枢を抑制する
肥満予防2 よく噛むと脳内ヒスタミン神経系が刺激され、食欲を抑える
運動機能アップ 噛む機能が向上すると、全身の運動機能がアップする
脳の血流アップ 脳内の咀嚼野の血流が増え、脳を活性化する
糖尿病のリスクダウン 良く噛むとインスリンと同じ働きをするIGFが唾液に出てきて、糖尿病を防ぐ


噛む回数が多くなるよう、

1.弾力のあるもの(イカ、タコ、きのこ類など)を取り入れよう
2.複数の食品を組み合わせよう(触感の違いを感じ取ろうとして、噛む回数が増える)
3.食物繊維を多く含む食品(よく噛まないと飲み込めない)を選ぼう
4.薄味を心がけよう(素材の味を味わおうとして、噛む回数が増える)
5.大きめに切ろう(素材が大きめだと噛む回数が増える)
6.柔らかいものもよく噛もう(胃に流しこむことがなりなり、消化にもよい)

…といった工夫をしてみましょう。



歯も骨もボロボロ?


骨粗しょう症の人の90%には慢性的な歯周疾患がみられます。
同様に、閉経後の女性で骨粗しょう症が高度である人ほど、
早く歯を失うという研究結果がでています。

反対のことも言えます。自分の歯を保っている人ほど、骨密度が
高いのです。

歯を支えているのも、歯槽骨、という骨です。

人類が「噛んで、唾液を出して食べ物を消化しやすくしてから
飲み込む」ことをはじめたのは100万年前です。この活動によって
脳の容量が一気に2倍近くまで増えました。

「何歳になっても自分の歯で食べたい」、と願うのは身体的健康の
ためにも、また「おいしいねぇ」と思える精神的健康のためにも
大切なことなんですね。